Blog いま、SPネットワークが変わる ── 課題を乗り越える次世代アーキテクチャ

いま、SPネットワークが変わる ── 課題を乗り越える次世代アーキテクチャ

今年の MWC は 3 月に開催されます。それに先立ち、通信サービスプロバイダー(SP)業界の現状を見てみましょう。業界が直面する主な課題、目標、そしてチャンスとは何か。それらには、どう向き合うべきでしょうか。

テレコムサービスプロバイダー市場 ― 変化の兆し

通信業界の不振は、いまに始まった話ではありません。業界が長らく停滞している背景には、ほぼ横ばいの収益と、データ需要の急増に伴う設備投資(CapEx)および運用コスト(OpEx)の増加という 2 つのトレンドがあります。しかし、最近になってこの状況に変化の兆しが見え始めています。業界のリーダーたちが、現状を打破するための具体的な道を歩み始めているのです。 

特に注目されているのが、最も負担の大きい「OpEx」への取り組みです。これを実現するには、ネットワークインフラの構築(および設計、運用、保守)のあり方そのものを根本から変える必要があります。この新たなアーキテクチャには、2つの主要な構成要素として「コンバージェンス(収束化)」と「オートメーション(自動化)」が求められます。そして、それを支える基盤として「ディスアグリゲーション(機能分離)」と「AIOps(AI による運用管理)」という概念があります。それぞれについて見ていきましょう。

コンバージェンス ― 複数のアプローチ

コンバージェンスの目的は、ネットワーク要素の数、さらには SKU(製品型番)の数を減らすことにあります。その実現手段として、さまざまな技術やアーキテクチャが存在します。

  • 光伝送とルーティングの融合
    ZR および ZR+ といったプラガブルなコヒーレント光モジュールの普及により、オプティカルネットワークのエッジ部をルーティング機能に統合することが可能になります。これは、スペースと電力に制約のあるエッジ拠点で特に重要です。光トランスポンダーを排除することで、同じ設備でより多くの容量とサービスを提供できるようになります。ただし、これを実現するには、オープンなエコシステムのもとで展開される必要があります。これにより、各領域において最適なベンダーを柔軟に選定できるようになります(たとえ同じ装置内で複数の領域を担う場合であっても)。
  • 統合型エッジネットワークアーキテクチャ
    ビジネス向け、家庭向け、固定回線、モバイルといったエッジ/集約ネットワークのサイロを排除します。すべてのトラフィックが同じデバイスを通過し(必要に応じて論理的な分離は維持)、ネットワーク要素や拠点の数を大幅に削減できます。
  • プロトコルスタックの簡素化
    SRv6(IPv6 上のセグメントルーティング)の導入は、ネットワーク内で使用するプロトコル、特に IGP の数を減らす可能性があります。これにより、ルーティングドメインが集約され、ネットワークの設計および運用が著しく簡素化されます。
  • OSS 統合の一元化
    上記によって、オペレーションサポートシステム(OSS)に向けたプロトコルおよびノースバウンドインターフェースも削減されます。新たなサービスや機能の統合が容易となり、市場投入までの時間(TTM)が大幅に短縮されます。

オートメーション ― クラウドライクな運用

大規模な自動化は、CLI(コマンドラインインターフェース)を使わない自律型ネットワークの実現に近づけます。これにより、運用コスト(OpEx)が削減され、MTTR(平均復旧時間)、MTBF(平均故障間隔)、TTM(市場投入までの時間)といった指標が改善されます。自動化はネットワークとサービスのライフサイクル全体で活用されます。 

 計画・セットアップ・テスト

  • デジタルツイン:本番ネットワークの仮想ミラーを用意し、変更をサービスを止めずに検証可能
  • 自動トラフィック管理と容量計画:タッチレスで継続的なプロアクティブプランニングを実現 

導入・保守

  • ZTP(ゼロタッチプロビジョニング)による自動設定:初回から正しい構成を迅速に実現 
  • CLI 非使用・リモート完全制御:セキュリティリスクと人的ミスを低減 

運用・最適化

  • 自動ネットワークインベントリ:ハードウェア/ソフトウェアを15分ごとに状態を報告し、正確な資産管理を実現 
  • ネットワークのストーム制御:優先順位を考慮した再起動処理により、連鎖的な障害を防止

ディスアグリゲーション ― 変革の鍵

前述のメリ ットを実現するには、ディスアグリゲーション(機能分離)とソフトウェアベースのネットワークインフラが不可欠です。特に重要なのが、ハードウェアや光学モジュール、ASIC に依存しない形で設計されたネットワークオペレーティングシステム(NOS)です。これにより、ネットワーク全体でハードウェアの共通化が可能になり、SKU の削減と真のネットワーク統合が実現します。 


また、オープンなシステムにより、コヒーレント光モジュールを活用した場合でも、ルーティングベンダーに縛られず、光ネットワークのベストオブブリード戦略を維持できます。さらに、このようなアーキテクチャは、OSS 層に対するノースバウンドインターフェースの簡素化も後押しします。 

ディスアグリゲーションは本質的にハイパースケーラーの手法を取り入れたものであり、新興のネットワークベンダーだからこそ実現可能なアプローチです。従来型のルーティングベンダーには、この新しいアーキテクチャに対応する上でいくつかの制約があります。たとえば、エンタープライズやクラウド分野への注力による通信事業者向けビジネスの後退、自社の高収益なハードウェアビジネスへの依存、そして NOS 自体がハードウェア非依存で構築されていない点などです。

AIOps ― 効果がすべてを物語る

ネットワーク運用の簡素化に向けて AI(人工知能)を活用することは、無限の可能性を秘めています。実際、すでに数多くのユースケースが登場しており、DriveNets でも運用チームの負担を大幅に軽減するための便利なツールをいくつも開発しています。 

これらのツールの詳細を知りたい方は、来月バルセロナで開催される MWC にて、ぜひ当社ブース(2K65)にお立ち寄りください。皆さまと現地でお会いできるのを楽しみにしています。

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