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一般的にディスアグリゲーション、特にネットワーク・ディスアグリゲーションは、技術やビジネスの議論で長年使われてきた用語です。
しかし、ディスアグリゲーションがよく使われる用語の一つであっても、それが何であるかを正確に説明するのは難しいのではないでしょうか(だからこそこの記事を読んで頂いていると推測します。😊)
さて、今こそこれらの用語を再検討し、「ディスアグリゲーション」と「ネットワーク・ディスアグリゲーション」が何を意味するのか、きっぱりと理解する良い機会です。
ディスアグリゲーションとは何か?
技術の文脈で使われる場合、ディスアグリゲーションとは、従来のモノリシックなノード(ハードウェアとソフトウェアが同じベンダーによって提供される)から脱却するための方法またはアーキテクチャを指します。ディスアグリゲートされた方法・アーキテクチャは、市販の COTS (Commertial off-the-shelf) ハードウェアを使用して、さまざまなソフトウェアインスタンスを実行するものです。

ディスアグリゲーションの主なメリットは、特定の 1 つのハードウェアベンダーに縛られなくなることです。これにより速い開発スピード、規模の経済性、COTS ハードウェアの多様なサプライヤーを活用できます。
ネットワーク・ディスアグリゲーションとは何か?
ネットワーク・ディスアグリゲーション、つまりネットワーク機能のディスアグリゲーションは、かつてモノリシック・アーキテクチャで結合されていたソリューション・エレメントをアンリンクする、つまりディスアグリゲーションするという同じ原理に基づいています。ここでは、汎用のハードウェア(しばしば COTS またはマーチャント・シリコンベースのハードウェアと呼ばれる)を使用することが非常に一般的です。
とはいえ、トラフィックが集中するネットワーク機能(データプレーンもしくはユーザプレーン機能)では、CPU ベースの COTS ハードウェア(サーバーなど)を使用しても、拡張性やコスト効率が十分でないことが判明しています。ネットワーク仮想化 (NFV, Network Function Virtualization) が失敗例の好例です。そのため、ネットワークに最適化された汎用的な COTS ASIC を組み込んだ「ホワイトボックス」が登場しました。

このハードウェアとソフトウェアの分離の上に、さらなる分離のレベル、すなわちディスアグリゲーションが使用されています。分離レベルが増えるごとに、柔軟性、ベンダーの多様性、サプライチェーンの堅牢性、コスト削減・効率性のレイヤーが追加されています。
ここでいうさらなる分離は、一般的に、特定のネットワーク機能を複数のコンポーネントに分割することを指します。例えば、携帯電話の基地局を中央ユニット(CU)、分散ユニット(DU)、無線ユニット(RU)に分割することが挙げられます。IP ネットワーキングの世界では、このような複数レベルの分解には、コントロールプレーンとユーザープレーンの分離、パケット・フォワーダー機能とファブリック機能の分離が含まれます。

ネットワーク・ディスアグリゲーションのメリットは?
ネットワーク・ディスアグリゲーションは、クラウド・テクノロジーとホワイトボックス・ハードウェアを使用することで、シャーシ・モデルと CLOS モデルの両方の利点を実現し、超高信頼性と拡張性に優れたネットワークを構築しています。
ベンダー選択
ネットワーク事業者にとって、ベンダーロックインは歴史的に大きな問題でした。例えば、シャーシモデルでは、ネットワーク事業者はハードウェアとソフトウェアを提供する特定のネットワークベンダーに拘束されます。ネットワーク・ディスアグリゲーションは、ネットワーク事業者にベスト・オブ・ブリードのソリューションの選択肢を提供します。1 つのベンダーに過度に依存する代わりに、ネットワーク事業者は、オープンインターフェースを通じて容易に統合できる幅広い選択肢から選ぶことができます。
先端技術
従来のネットワーキングは、長い間シャーシ中心のアプローチに依存してきました。ネットワーク・ディスアグリゲーションは、長年の実績のあるシャーシ・モデルとクラウド・コンピューティングの利点を融合させることができます。新しいテクノロジーは、ベンダーの優先順位ではなく、オペレーターの優先順位に基づいて、必要に応じて容易に採用することができます。アーキテクチャをオープンにすることで、ディスアグリゲーションされたネットワークは新しいテクノロジーを容易に可能にし、新しいテクノロジー・イノベーションの迅速な導入に適しています。
イノベーションのペース
ネットワーク・ディスアグリゲーションは、ビジネスの適応性を向上させ、革新的であり続けることを可能にします。ネットワーク・ディスアグリゲーションでは、あるベンダーからハードウェアを選択し、別のベンダーからソフトウェアを選択することができます。これは健全な競争を促し、ハードウェアとソフトウェアが単一の従来のベンダーによって一緒に開発されなければならない既存の統合シャーシソリューションとは対照的に、技術革新のペースを加速させます。
事業継続
ネットワーク・ディスアグリゲーションは、パフォーマンスと運用の一貫性を最適化し、制御性を向上させます。ネットワーク・オペレーターは、コンポーネントだけでなくベンダーも容易に交換できるため、サプライ・チェーンの混乱にさらされるリスクを軽減できます。ネットワーク・ディスアグリゲーションは、スケールアウトモデルと垂直ディスアグリゲーションを組み合わせたもので、マーチャント・シリコンベースのホワイトボックスとネットワーク・オペレーティング・システム(NOS)ソフトウェアを別々のベンダーから調達して使用します。サービスプロバイダのサプライ・チェーンの柔軟性を提供することで、垂直的なネットワークのディスアグリゲーションは、水平的なディスアグリゲーション・アプローチのアーキテクチャ上の利点に加えて、より広範なベンダーのエコシステムを提供するため、より多くのイノベーションを実施する可能性があります。
オペレーションの簡素化
スケールの経済性を生かすことで、ネットワーク・ディスアグリゲーションは運用コストと資本コストを削減します。分離されたネットワーク・アーキテクチャは標準化されたかつ予測可能な方法で拡張できます。ディスアグリゲーション・ネットワーキング・モデルには通常、Day-0 と Day-1 のオペレーションを自動化し、システム機能をオーケストレーションするビルトイン・オーケストレーターが含まれており、運用スケールをサポートします。これにより、従来のシャーシでのラインカードの複数のリフレッシュ・サイクルや、システムのフォークリフトを管理する運用上のオーバーヘッドが取り除かれています。
オープンなエコシステムへのアクセス
既存のベンダーは、ネットワーク事業者にとって固有の障壁を作ってきました。ネットワーク・ディスアグリゲーションにより、ネットワーク事業者は包括的でオープンなエコシステムを利用することができます。一つの既存ベンダーに支配される長年のアプローチに対して、幅広いコミュニティによって管理されるネットワーク・ディスアグリゲーションは、事業者を中心に置く活気に満ちたオープンなエコシステムを促進します
ディスアグリゲーションの次は何がある?
前述したように、ディスアグリゲーションは新しい概念ではありません。また、ネットワーク領域に限定されるものでもありません。その利点を最大限に活用するために、ディスアグリゲーションはより広範なアーキテクチャの変化、つまりクラウド・ネイティブ・アーキテクチャへの移行の基礎として使用されなければなりません。これには、複数レベルのディスアグリゲーションに加えて、ハードウェアの分散とソフトウェアのコンテナ化も含まれています。それについてはまた別の記事で触れることにします。
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