ネットワーク高可用性のアウトサイド・イン視点

これはチュートリアルでも宣伝でもありません。ネットワークを最適化し、顧客を維持したいと考えている事業者にとって重要なテーマとお考えください。ネットワークにおける高可用性（HA）の重要性は、すべてのネットワーク事業者が同意を示すことでしょう。ネットワーク・サービスの解約につながる一番の理由は可用性の低さによるものであり、それによる問題を経験した顧客がその通信事業者に戻ってくる可能性は極めて低いでしょう。言うまでもなく高可用性は常に重要ですが、すべてのネットワーク事業者が検討すべき、可用性を改善するための新しいアプローチを示します。

高可用性への脅威

オペレーターによると、可用性に対する具体的な脅威は 3 つあります。第 1 に機器の故障です。2 番目に操作ミス、3 番目に機器のアップグレード（ハードウェアまたはソフトウェア）です。従来、可用性の対策として、IP ネットワークの代替ルーティング機能に目を向けられますが、満足のいく代替ルートが利用できなかったり、代替ルーティングが顧客に対し問題を隠せないほど障害率が高かったりすると、こうした対策は失敗に終わる可能性があります。また、一部のルータ・ベンダーは大々的にイン・サービス・ソフトウェア・アップデート（ISSU）を宣伝していますが、オペレーターはその機能だけでは可用性の対策として十分ではないことを知っています。 我々は、これらの脅威に明確かつ完全に対処する必要があります。 

ドライブネッツ ネットワーククラウドの紹介

実際には、可用性に対する 3 つの主要な脅威は、しばしば同時に起こります。機器の故障とアップグレードの両方がネットワークの停止を引き起こし、どちらも通常、ネットワーク・オペレーション・センター（NOC）の担当者による修復を必要とします。そのようなケースでは多くの場合、プレッシャーにさらされるためミスを犯す可能性があります。障害範囲が大きいほど、NOC はメッセージの嵐に見舞われ、何が問題なのかを判断することさえ困難になります。オペレーターが可用性を最適化したいのであれば、これら3つの脅威に同時に効果的に対処しなければなりません。 

ネットワーク・ハードウェアをより利用しやすくする

まず、リストのトップである機器の故障から始めましょう。機器の故障ほど可用性に大きな影響を与えるものはありません。どうすれば故障率を減らせるでしょうか？ネットワーク・ハードウェア、つまりモノリシック・ルーターの可用性を高めることでしょうか？データセンター・サーバのベンダーはそれを試みましたが、十分ではなく、顧客は高可用性を求めてクラウドに目を向けました。ネットワークの顧客もまた、DriveNets のネットワーク・クラウドによって、同じアプローチをする時が来たのです。 
 
ネットワーク・クラウドとは、その名の通り、モノリシックなルーター・モデルを、リソースをプールした共有ホスティング・モデルに置き換えたものです。典型的なモノリシック・ルーターを考えてみましょう。故障したらボックスごとダウンするようなコンポーネントがいくつあるでしょうか？それらのうち、可用性を 9 分の 5 以上に高めるために 1 対 N の冗長化が可能なものはいくつあるでしょうか？ボックス内の他のコンポーネントに影響を与えることなく、カードの抜き差しができるでしょうか？ネットワーク内のルーター・タイプごとにスペアが必要でしょうか？事実、モノリシック・ルーターはまさに単一障害点の巣窟であり、障害が発生した場合は通常、ボックス全体に影響が及びます。適切なユニットのスペア在庫がなければ、長期にわたるサービス低下、さらにはサービス停止に陥る可能性があります。

ネットワーク・クラウドはどうか？

ここでネットワーク・クラウドを見てみましょう。ネットワーク・クラウドはホワイトボックス・スイッチで構成されるクラスタで、それぞれが共通のオペレーティング・システム（DNOS）を実行し、共通のネットワーク・オーケストレーション・アーキテクチャ（DNOR）によってサポートされています。ネットワークのあらゆるルーター・ミッションに対応すべくホワイトボックスを組み合わせてクラスタを作成することができ、1セットのスペアであらゆるミッションをカバーします。すべてのコンポーネントは必要なだけ冗長化できます。すべてのホワイトボックスは、クラスタの残りの部分に影響を与えることなく交換が行え、同様に影響を与えることなく新しいボックスを追加することができます。クラスタ内のファブリックでさえモジュール化されており、バックプレーンがモジュール化されたモノリシックなルーターを探してみたところで例はないはずだ。ネットワーク・クラウド・クラスタを適切に設計すれば、壊滅的な環境の障害でも発生しない限り、クラスタ全体がダウンすることはありません。

ネットワーク・クラウドは可用性に大きなメリットをもたらす

この点について少し考えてみましょう。モノリシックの障害はルーターのダウンに等しいので、そのルーターによって処理されていたすべてのトラフィックは、IPネットワークの適応型トポロジーにより検知されるプロセスを通じて再ルーティングされなければならなくなります。ルーター・ネットワークは代替ルートを作成することでルートの障害に対応し、ネットワークは新しいトポロジーに「落ち着く」または「収束する」必要があります。これには時間がかかり、場合によってはすべての新しいトラフィックを代替ルートに伝送するのに十分な容量がないこともあります。トポロジーの収束が進行している間、一部のパケットはサポートしているアプリケーションを壊すほど遅延するかもしれないし、一部は完全に失われるかもしれません。

クラウドの障害とは、プール内の1つのリソースの障害です。ネットワーク・クラウドの障害は範囲が非常に限定されるため、対応すべきルート変更が少なくなり、ルート再分配によって吸収すべきトラフィックが少なくなり、その結果、ネットワーク全体への影響が少なくなります。それだけでなく、ダウンしたコンポーネントは最終的にサービスに戻されるので、ここでもネットワーク・クラウドは大きな可用性のメリットをもたらします。障害によって影響を受けるのはネットワーク・クラウド・クラスタのごく一部であるため、ネットワークが復旧したエレメントに適応するにつれて、復旧によって影響を受けるトラフィックはわずかな量になります。

クラウドでのネットワーク運用は変革をもたらす

運用に話を移すと、ネットワーク・クラウドには、2つの異なるレベルの運用サポートがあるという、もう1つの利点があります。より高水準の "ネットワーク" 運用フレームワークと、より洗練された "クラウド" 専用の運用フレームワークです。つまり、最高レベルでは、ネットワーク・クラウド・クラスタは他のルーターと同様に管理されます。同時に、クラウド・リソース・プールとして管理することも可能であり、この二重性が、DriveNets を運用の慣習とコストの面で特別なものにしています。

ネットワーク・クラウド・クラスタは、現在の運用手法を維持しつつレガシー・ルーター・ネットワークとの統合を容易にし、ネットワーク・クラウド導入時の学習曲線を加速します。オペレーターは、これまでと同じようにネットワークを設計し、トポロジをレイアウトし、障害のケースを通して対応し、適応型トラフィック・ポリシーを設定できます。しかし、すでに述べたように、ネットワーク・クラウドは分散型であるため、問題の範囲は限定され、影響を受ける顧客は少なくなります。そして、大規模な障害に性急に対処する要求は、エラーの原因になることを誰もが知っています。 

「クラウド」視点での運用は、変革をもたらします。モノリシック・ルーターの場合、根本原因の分析にあまり意味はありません。問題を切り分けることができても、できることはほぼないからです。よいですか？ これはモノリシック・ルーターです。DNORの自動化により、問題を特定のホワイトボックスに絞り込み、ハードウェアとソフトウェアの問題を分離し、クラスタ内部で対策を講じることができます。必要であれば、ホワイトボックスの1つを他のホワイトボックスを停止させることなく交換でき、そのソフトウェアと構成をライブラリからロードして、正常性を確認することができます。事実上、ネットワーク・クラウドによって、事業者は、スケーラビリティ、回復力、冗長性、可用性など、どのようなレベルであれ、動的に独自のルーターを構築することができます。

ネットワーク・クラウドの「クラウド」視点では、個々のクラスタ・スイッチはデバイス自体に保存され、適切なインターフェイスが接続されたときに動作できるように待機しています。プラグ・アンド・プレイのソフトウェア・ローディングとライブラリ・ベースのコンフィギュレーションにより、接続と同時に新しいデバイスをクラスタに追加できます。

同じ視点で、ネットワーク・クラウドは複数の仮想ルーターに分割でき、これらの仮想ルーターは実際の追加デバイスとして「ネットワーク」ビューに表示されます。たとえば、同じネットワーク・クラウドをコアとアグリゲーション/メトロ・ルーターの両方に構成したり、異なる接続性をサポートする 2 つのコア・ルーターに構成したりできます。その出発点から、1 つの仮想ルーターからもう 1 つの仮想ルーターにスイッチを移動させるのは簡単なので、条件や負荷レベルの変化に応じて、すべてのリソースを動的に構成することができます。ネットワーク・クラウドが提供するクラスタ・アーキテクチャと仮想ルーター機能の組み合わせにより、ネットワーク機器を設計することで、事業者独自の仕様とニーズに合わせたネットワーク設計が可能になります。

クラウドの可用性をネットワークに

データセンターと同様に、ネットワークも近代化する必要があります。今日、可用性の高いアプリケーション・ホスティングをどこに求めればよいのでしょうか。モノリシックで巨大なサーバー？ いいえ、クラウド、リソースプールです。DriveNets が実現したのは、クラウドの可用性をネットワークに持ち込むことであり、ネットワークの運用方法を変えることなく、プールされたクラウドリソースによる俊敏性と柔軟性をすべて提供することです。HA ホスティングを構築するように、HAネットワークを構築することができます。現在、このような製品は市場に存在しません。だからこそ注目していただきたいのです。