執筆時点で、多くの通信サービスプロバイダ(Communication Services Provider; CSP)にとって、すでに 2021年度に入っています。ネットワーク トラフィックはパンデミック前と比べて 20~30% 増で安定し、世界のトラフィックパターンは企業ネットワークからブロードバンドにシフトしているため、CSP はネットワークの規模やコスト構造を再検討し始めています。
良いニュースとしては、コロナウイルスの期間という課題が課せられている状況の中で、CSPはサービスを順調に提供し続け、2020年の残りの期間に予定されていたはずのネットワークインフラを数週間のうちにアップグレードしました。あまり良くないニュースとしては、トラフィックの増加や Telco Edge でのウェブスケーラによる新たな要件に対応する為、CSP は以下のような長期的なネットワークの問題に取り組む必要があります。
- ネットワーク・アーキテクチャが運用上複雑で、十分に活用されていないこと。
- スケーリングが柔軟性に欠けていること。
- レガシーモデルとベンダーロックにより収益性が低下していること。
ネットワーククラウドでより良いオペレーションへ
今こそ、CSP は自社のネットワーク・アーキテクチャを再考して、最新のハイパースケール・クラウドに合わせるときです。Bank of America は、CSP によるホワイトボックスベースのルータと新しい分離型ネットワークモデルの検討を促進する為の入門書を発行しました。
ホワイトボックス上で実行されるオープンソフトウェアを基本とするネットワーキングソリューションは、独自のハードウェアを中心とする既存のソリューションに比べて、大幅な柔軟性と効率性を提供します。ハイパースケールクラウドインフラと同様に、これらのネットワークは従来のネットワークよりも柔軟性が高く、運用効率と費用対効果に優れています。分離型ネットワークは、5G ネットワーク・アーキテクチャにおいては既に導入範囲を広げています。一部の Tier-1 事業者は、コアとアグリゲーションにそれを採用しています。IP ネットワークのRFI や RFP を発行する予定があるのであれば、新しい分離型ルータのベンダーを含めるようにしましょう。できれば、Bank of America の調査の中でこの分野のリーダーであると言われている DriveNets を選びましょう。その理由をご紹介します。
理由1: より効率的にスケーリングできる
サーバ仮想化、低コストのホワイトボックス、クラウドネイティブなソフトウェア、そしてよりシンプルなスケールアウト型アーキテクチャ(CLOS)を使って、ハイパースケーラーはクラウドでコンピュートとストレージがスケールするようにしました。それと同じように、分離型ネットワークは、オープンで標準化された設計、(コンテナとマイクロサービスを使用した)クラウドネイティブなネットワークソフトウェア、および ODM の中から選択する標準的なネットワーキングホワイトボックスをベースにしています。DriveNetsのNetwork Cloudは、AT&Tがオープン コンピュート プロジェクト(OCP)に提出したDDC(分離分散型シャーシ)設計を基に実装されています。4Tbps の単一のホワイトボックスでルータを構成することもできますし、複数のホワイトボックスから構成されるクラスタをベースにしたシングルルータでは 768Tbps まで拡張可能です。クラスタ構成の場合には、たった2種類のホワイトボックスをビルディング ブロックとして、アクセス、エッジ、コアを同じソリューションでカバーします。
理由2: オープンなので、ベンダーロックや価格ロックを回避できる
クラウドネイティブなソフトウェア、標準的なネットワーキングホワイトボックス、柔軟な運用や商用モデルにより、ネットワークの分離で、ネットワークの経済性を変え、容量とサービスをより速く拡張できるようになります。
サービスプロバイダがネットワークソフトウェアとは別にホワイトボックスベンダーを選択できるようにし、時間の経過と共にホワイトボックスを追加することでネットワークを成長させることができます。これにより、分離型ネットワークモデルはベンダーロックと、さらに重要なポート価格ロックを解消できます。オープン性とは、異なるコンポーネント間のインタフェースが明確な形になっているオープンなアーキテクチャと、SP ルーティング向けの OCP DDCモデル、5G 無線ネットワーク向けの Open RAN アライアンスなどの標準化によるオープンな設計、そしてオープンソースのソフトウェアを意味します。しかし、分離型モデルがもたらす究極の変革とは、高いスキルを持ったプレイヤーから構成されるオープンなエコシステムです。それぞれが自分の専門分野に焦点を当てることができます。これにより、各コンポーネントでのレベルと全体でのレベルで競争と技術革新が促され、複数のベンダーから選択できるようになり、さらには DriveNets のような新規参入者による新たなアプローチが促進されるのです。
理由3: 運用モデルがシンプルになり、OPEXが下がる
分離型ネットワークソリューションは、運用と管理が非常に簡単です。従来のルータの様々なハードウェア中心の機能が、データプレーン(パケット転送)、コントロールプレーン(ルータのインテリジェンス)、マネジメントプレーンという個別の管理可能なソフトウェア主導のプレーンに変わります。ソフトウェア主導のモジュラーアーキテクチャとクラウドネイティブな技術により、ハードウェアは標準的なホワイトボックスや x86 サーバで構成されます。DriveNets の場合、2 種類のホワイトボックスがあれば、コア、エッジ、アクセスのどのサイズのルータも構築できます。最大構成のソリューションでは、分散型アーキテクチャと数百台のホワイトボックスを使用しますが、それでも1台のルータのように管理されます。ソフトウェアは、シングルボックスでもマルチボックスでも、実行するハードウェアの種類に関係なく同じものであるため、導入が簡素化されます。そして、自動化されています。分離分散型シャーシが単一ベンダーの統合シャーシとして機能するように、ハードウェアとソフトウェアのゼロタッチプロビジョニングとライフサイクル管理により、統合ソリューションとしてのルータのプロビジョニングと管理を自動化します。これにより、マニュアル操作に起因するミスの減少、収益化までの時間の短縮、可視性の向上が保証されます。
理由4: Telco グレードでありながら、従来のシャーシよりも柔軟性が高い
DriveNets Network Cloud は、完全なルータ・ソリューションを提供します。既存のルータベンダーと同様に、DriveNets はベンダー(ODM、シリコンベンダー、オプティクスベンダー)のエコシステムと協力しながら、ソリューションの全体テスト、認証、運用、サポートを提供します。ソフトウェアベンダーは、ソリューション全体について Telco グレードの性能を保証します。従来のルータを導入するのと同様に、VAR(Value-Added Reseller)がエコシステムの一翼を担い、通常はシステム全体の導入に関与し、顧客の要求に応じた導入と保守が行われることを保証します。
理由5: TCO を50%削減する
分離型ネットワークソリューションは、従来のルータベンダーとその高いマージンと比較して、最小の TCO を実現するように構築されています。
ホワイトボックスのハードウェアは、よりシンプルなフォームファクタで、どのネットワーク(アクセス、エッジ、コア、ピアリング)でも同一です。ソフトウェアのライセンスモデルは、ネットワークの成長とコストを切り離すことができます。ハードウェアの仮想化により、任意のポートで任意のサービスを利用できるため、ネットワーク全体の利用率が大幅に向上し(2倍以上)、ネットワークの物理リソースをより有効に活用できます。運用面では、ネットワークの簡素化と自動化により、ネットワーク エンジニアリング、ソフトウェア アップグレード、サービス保証のコストを削減できます。ACG Research によると、DriveNets の Network Cloud は従来のソリューションと比較して50%のコスト削減を実現しています。
分離型ネットワークに移行する時期が来ました。他の Tier-1 事業者は既にそうしています
世界のいくつかのネットワーク事業者は、標準的なホワイトボックス上で動作するソフトウェアを開発したり、購入したりして、独自の分離型ネットワークソリューションを開発しようとしています。その多くは、それによる利点だけでなく、他の大規模通信事業者が試用し、テストした市販のソフトウェアを使用することの利点も認識しています。DriveNets は現在、世界中の多くの Tier-1 事業者で様々な導入段階、テスト段階にあります。次回の RFI/RFP では分離型ネットワークをぜひ検討ください。
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