通信業界の不振は、いまに始まった話ではありません。業界が長らく停滞している背景には、ほぼ横ばいの収益と、データ需要の急増に伴う設備投資(CapEx)および運用コスト(OpEx)の増加という 2 つのトレンドがあります。しかし、最近になってこの状況に変化の兆しが見え始めています。業界のリーダーたちが、現状を打破するための具体的な道を歩み始めているのです。
特に注目されているのが、最も負担の大きい「OpEx」への取り組みです。これを実現するには、ネットワークインフラの構築(および設計、運用、保守)のあり方そのものを根本から変える必要があります。この新たなアーキテクチャには、2つの主要な構成要素として「コンバージェンス(収束化)」と「オートメーション(自動化)」が求められます。そして、それを支える基盤として「ディスアグリゲーション(機能分離)」と「AIOps(AI による運用管理)」という概念があります。それぞれについて見ていきましょう。
コンバージェンスの目的は、ネットワーク要素の数、さらには SKU(製品型番)の数を減らすことにあります。その実現手段として、さまざまな技術やアーキテクチャが存在します。
大規模な自動化は、CLI(コマンドラインインターフェース)を使わない自律型ネットワークの実現に近づけます。これにより、運用コスト(OpEx)が削減され、MTTR(平均復旧時間)、MTBF(平均故障間隔)、TTM(市場投入までの時間)といった指標が改善されます。自動化はネットワークとサービスのライフサイクル全体で活用されます。
計画・セットアップ・テスト
導入・保守
運用・最適化
前述のメリ ットを実現するには、ディスアグリゲーション(機能分離)とソフトウェアベースのネットワークインフラが不可欠です。特に重要なのが、ハードウェアや光学モジュール、ASIC に依存しない形で設計されたネットワークオペレーティングシステム(NOS)です。これにより、ネットワーク全体でハードウェアの共通化が可能になり、SKU の削減と真のネットワーク統合が実現します。
また、オープンなシステムにより、コヒーレント光モジュールを活用した場合でも、ルーティングベンダーに縛られず、光ネットワークのベストオブブリード戦略を維持できます。さらに、このようなアーキテクチャは、OSS 層に対するノースバウンドインターフェースの簡素化も後押しします。
ディスアグリゲーションは本質的にハイパースケーラーの手法を取り入れたものであり、新興のネットワークベンダーだからこそ実現可能なアプローチです。従来型のルーティングベンダーには、この新しいアーキテクチャに対応する上でいくつかの制約があります。たとえば、エンタープライズやクラウド分野への注力による通信事業者向けビジネスの後退、自社の高収益なハードウェアビジネスへの依存、そして NOS 自体がハードウェア非依存で構築されていない点などです。
ネットワーク運用の簡素化に向けて AI(人工知能)を活用することは、無限の可能性を秘めています。実際、すでに数多くのユースケースが登場しており、DriveNets でも運用チームの負担を大幅に軽減するための便利なツールをいくつも開発しています。
これらのツールの詳細を知りたい方は、来月バルセロナで開催される MWC にて、ぜひ当社ブース(2K65)にお立ち寄りください。皆さまと現地でお会いできるのを楽しみにしています。