COVID-19にもかかわらず(あるいはおかげで)、2020年は米国のケーブル事業者にとって2006年以来最高の年となり、ブロードバンドインターネット加入者が482万人増えました。しかし、これにより、特にIPネットワーク層にて、さらなる課題が伴うこととなりました。
実は、今日のMSOネットワークでは、DAA(分散型アクセスアーキテクチャ)に向けたネットワークの進化、ディープファイバーの設置場所の増加、そして顧客トラフィックの増加が引き金となり、非常に高密度なIP集約が求められています。今後、パフォーマンスと最適化の理由から仮想アクセスのワークロード、コンテンツ配信、分析、付加価値サービスなどのネットワークベースのサービスがユーザの近く、つまりネットワークのエッジに移動していることにより、IP集約への変化の必要性はさらに高まります。
ドライブネッツ ネットワーククラウドの紹介
こうした背景により、今後のIP集約ネットワークの物理ポート数が増えていき、そして運用の複雑さが増し、その結果、拡張性と耐障害性の向上を図ることが必要になります。(一部の事業者にとっては「すでに」そうなっています)。
幸いなことに、MSOがIP集約で現在直面している問題のほとんどと、その他(例えばコアやエッジ)での問題点を解決するために、新しいオープンアーキテクチャ、分散分離型シャーシ(DDC)が設計されています。OCP(オープン・コンピュート・プロジェクト)によって定義されたDDCは、シャーシ型のルータに代わるもので、それぞれ相互運用可能なマルチベンダーコンポーネントで構築され、それらをMSO事業者が組み合わせて効率的なルーティングシステムを実現できます。
DDCの基本コンセプトは以下の通りです。
DDC準拠のソリューションの一例 - DriveNets Network Cloud
これらのユニットは、複数のメリットを提供しながら、ハイパースケールな集約層を構築するために使用することができます。MSO集約ネットワークの場合、主なメリットは以下の通りです。
現在のMSO IP集約ネットワークは、コストがかかるスパイン・リーフのアーキテクチャに依存しています。異なるシャーシを相互接続するためにはユーザポートが使用されます。リーフ・スパインのアーキテクチャ内で30%の「失われた」ユーザポートが見られるのはよくあることで、ポート密度が低下し、コストが増加します。
一方、DDCモデルでは、ノンブロッキングで効率的なアーキテクチャを使用しており、 DriveNetsネットワーク・クラウドの場合691Tbpsまで拡張できますが、内部ポートのロスは大幅に削減、もしくは完全に削除できます。
DDCソリューションでは、シャーシ型のソリューションと少なくとも同等のポート密度、又はほとんどの場合それ以上のポート密度を提供します。
DDCソリューションは、2RUのボックスを複数個を使った構成で導入されます。各ボックスには、パケット転送、ファブリック、制御といった特定の機能があります。フットプリントが小さいため、ほとんどのデータセンターやハブロケーションで通常見られるスペースと電力の制約に対しては物理的な柔軟性があります。
さらに、DDC の消費電力は、OpEx の観点から重要な懸念事項ですが、既存ベンダーおよび ODMベンダーが通常は同じ技術や同一の設計パートナーを利用しているため、シャーシ型と同等であり、同じような消費電力が必要となります。
シャーシ型と比較した場合に電力の分配の仕方がDDCの主な利点となります。DDCモデルは、シャーシのバックプレーンではなくケーブルで接続されているため、シャーシに必要なラックごとの電力の制約を解決し、複数のラックにまたがるホワイトボックス配置が可能になります。DDCは、設置場所内での物理的な設計に柔軟性を与え、複数のラックに消費電力を「分散」させることが可能です。
成長するベンダー市場の中でハードウェアとソフトウェアのベンダーそれぞれ異なるので、DDCモデルはMSOに最高品質のソリューションを提供します。現在、DDCアーキテクチャに対応するODMベンダー(UfiSpace、Edgecore、Deltaなど)が数社あり、光トランシーバやケーブルのベンダーも複数選択肢がありますが、ソフトウェアベンダー(DriveNetsが主なプレイヤー)は少数です。
MSOは、あるベンダーからハードウェアを選択し、別のベンダーからソフトウェアを選択することができます。それぞれのベンダーは自分の専門分野に特化し、健やかな競争を促し、革新のペースを加速させることができます。それに対し、統合シャーシソリューションの場合には、既存のベンダーが一社でハードウェアもソフトウェアも一緒に開発しなければなりません。
スパイン・リーフ・アーキテクチャは複雑で運用コストがかかるシステムです。それに対して、DDCアーキテクチャは標準化された方法で、尚且つ予測できる方法で拡張できます。これは重要なことです。
最初のNOSソフトウェアの導入とホワイトボックスの設定は、管理するボックスが増え、システムの規模が大きくなるにつれて複雑に見えるかもしれません。しかし、DDCソリューションには通常、day 0とday 1(インストール及び構築)の運用を自動化する組み込みのオーケストレータが含まれていて、システムの機能を管理し、運用規模の拡大を支援します。これにより、ラインカードを更新したり、システムをフォークリフトする作業が不要となります。
DDCシステムは、一度インストールしてしまえば、従来のシャーシ型システムとほぼ同じように見え、動作します。また、これらは組み込みのシステムオーケストレータを介して仮想化された単体のエンティティとして動作することができ、高度な自動化とコンポーネントレベルまでの詳細な可視化により、メンテナンスとトラブルシューティングがよりシンプルになります。
DNORオペレーションダッシュボード
適切なNOSを搭載した現在のDDCソリューションは、既存のシャーシ型システムとその設計と比較しても、技術要件、プロトコル、ユースケースを100%カバーしています。集約ルータは、通常、複雑な構成やプロトコルのサポートを必要としません。通常、必要なのは、簡単なポリシー、トラフィックエンジニアリング、簡素なQoSの適用だけですが、スマートなソフトウェアエンジニアリングと商用のシステムから取得した専門知識が、システムの高い復元力と可用性を実現するのに役立っています。
さらに、DDCソリューションは主に100GEと400GEのインタフェースタイプに焦点を当てているため、100GEポートの集約ネットワークへの移行に適しています。
DDCソリューションの導入には、ハードウェアの認証とテストを含め、6カ月から12カ月かかります。DDCハードウェアは複数のネットワークドメインで共通で使用するので、一度ハードウェアが検証されれば、汎用性の高いDDCソリューションをピアリング、エッジ、コアのユースケースに容易に拡張することができ、市場投入までの時間が大幅に短縮されます。
従来のシャーシ型システム(スパイン・リーフ・アーキテクチャ)に代わる強力な選択肢として、ホワイトボックスをベースとするDDCソリューションを以下の項目を基に評価することをMSOにはお薦めいたします。
DDCとホワイトボックス・ソリューションは、ネットワークの設計とアーキテクチャに重要かつポジティブな影響を与え、ネットワークの未来に向けた魅力的で価値のある選択肢を提供します。